どう変わった? 「水際対策」 11日から大幅緩和 入国時検査は不要 外国人の自由旅行解禁

日本政府は、国際的な人の往来を再開するため新型コロナウイルス感染症に関する水際対策を緩和し、2022年10月11日(火)から運用を開始しました。

国際線利用客で賑わっていた羽田空港第3ターミナル(2016年5月撮影)(Katsumi/TOKYO STUDIO)
国際線利用客で賑わっていた羽田空港第3ターミナル(2016年5月撮影)(Katsumi/TOKYO STUDIO)

ワクチン接種証明書は必要

これまでは感染状況などを踏まえて国・地域が「青」「黄」「赤」の3つに区分され、「黄」「赤」の国・地域からの入国者に対しては一部の場合を除き、到着時検査および、自宅または宿泊施設での待機期間が課せられていました。G7各国が水際対策を撤廃してきていることを踏まえ、新しい水際対策では検疫体制が最低限の措置まで簡素化され、海外旅行やビジネス往来の復活に対応します。

10月11日(火)からはすべての帰国者および入国者について、原則として入国時検査は実施されません。入国後の自宅・施設での待機や待機期間中のフォローアップ、公共交通機関を使わないなどの要請は行われません。ただし、新型コロナへの感染が疑われる症状が見られる場合など、検査を行うよう指示がある場合はそれに従う必要があります。

入国時の必要書類としては従来通り、世界保健機関(WHO)が定めたワクチンを3回以上接種した証明書または、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書の提出が求められます。これらはいずれかの提出でよく、ワクチン接種証明書を持っている方は出国前に改めて検査を行う必要はありません。なお、証明書の確認や質問表への回答をスマートフォンなどから入国前に済ませることができる「ファストトラック」の仕組みが運用されており、入国時の混雑や滞留を防ぐために利用が強く推奨されています(新しい水際対策と従来との比較など詳細は下の図表を参照)。

【図表で解説】政府 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策を緩和

インバウンドも制限解除

これまで「特段の事情」がある場合のみに大きく制限されていた、外国人の新規入国についても緩和されます。従来は、受け入れる企業や旅行会社などが受入責任者となり、一人ひとりの情報を「入国者健康確認システム」(ERFS)にオンライン申請する手続きが必要でした。10月11日(火)からはこの申請が不要となり、1日あたり50,000人とめどに設定されていた入国者総数の上限も撤廃されました。また、外国人観光客は旅行会社が主催するパッケージツアーへの参加が義務付けられていましたが、この制限も解除されました。自由に行程を決められる個人旅行が解禁となり、インバウンド観光の再びの盛り上がりが期待されます。

一方、対象の国・地域からの入国者に対して査証(ビザ)の取得を免除する措置は水際対策により一時停止されていましたが、10月11日(火)から再開されました。米国や韓国、台湾、ヨーロッパ主要国などからの短期滞在者はコロナ禍前と同様、ノービザでの入国が可能となっています。また、新型コロナ感染拡大に伴い、国際線を受け入れる空港や海港は大きく絞られていましたが、今後の就航予定に応じ、国際線の受け入れを順次再開するよう準備が進められます。

松野博一内閣官房長官は9月26日(月)の会見で、今回の水際対策の緩和は、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行に対応したもので、G7並みの円滑な入国が可能になると説明しています。その上で、「今後、新たにWHOで懸念すべき変異株として指定されるような事態が発生する場合には、当然のことながら、これに機動的に対処してまいります」とも付け加えています。